古い受信機が拾った、説明のつかない断片を集めています。ここに並ぶのはどれも出所不明の記録です。読み進めるうちに、ページの様子が少しずつおかしくなっていくかもしれません。
最初に届いたのは、深夜二時すぎの短い雑音だった。波形はほとんど無意味に見えたが、一定の間隔で同じ並びが繰り返されていた。誰かが何かを伝えようとしているような、けれど決して読み取らせまいとするような、奇妙な規則性だった。
記録を再生するたびに、細部が少しずつ違って聞こえる。気のせいだと思いたいが、二度として同じには聞こえない。関連する観測ログも併せて確認してほしい。
ノートの余白には、走り書きのような文字が残されていた。判読できる箇所は少ない。ただ「見ている」「まだ そこにいる」という二語だけが、何度も繰り返し書かれていた。インクの濃さからして、別々の日に書かれたものらしい。
無人のはずの階層から、規則的な足音。録音には三人分の歩幅が記録されていた。
特定の時刻にだけ現れ、すぐ消える帯域。指し示す座標は毎回違っていた。
カメラには映らないのに、温度計だけが人の体温を示し続けた部屋の記録。